企業が直面している資本調達市場には、債券市場と株式市場がある。どちらも不確実な市場リスクに直面しており、市場リスクを取り除いたリスクフリーの領域には国債市場がある。
各々の市場には、その市場に応じた期待収益率が存在する。また、企業が直面しているリスクは、資本調達市場のみならず、その遂行する事業から生じ、それは事業ごとに異なる。企業の期待収益率は資本コストの形で具現化され、株式評価においては割引率として使用される。企業、事業を取り巻く環境(外部環境、内部環境)から生じる不確実性はリスク(株価の変動性等)の形で表現される。
不確実性(リスク)が高いほど期待収益率が高く、不確実性(リスク)が低いほど期待収益率が低い。ハイリスクハイリターンあるいはローリスクローリターンの関係である。株式評価において使用される割引率は、期待収益率(資本コスト)として表され、リスクが高い企業、事業、市場ほど期待収益率が高くなり、結果として利益やキャッシュフローを割り引く際の割引率が高くなる。
日本において、一般的な株価指標として、東京証券取引所(東証)第一部上場銘柄を対象としたTOPIX(東証株価指数)や、東証の第一部/第二部の指数が使用される。その他の市場(東証のマザーズやジャスダックなど)関連銘柄の場合、第一部上場銘柄と比較すれば不確実性(リスク)が高くなるため、割引率が本来高くなる。また、主要事業Aとサブ事業Bがあり、主要事業がすでに安定した市場を確保している環境においてであっても、後発のサブ事業Bのは不確実性(リスク)は主要事業Aと比較して高くなり、結果として企業全体の割引率は高いものを使用することとなる。