増加運転資本の計算

増加運転資本とは、運転資本の増分であり、今期の運転資本が前期と比較してどれだけ増加したかを表し、株式評価(DCF法)においては、フリーキャッシュフローの算定の際の調整項目となる。

運転資本(Working Capital:WC)とは、企業の流動資産・流動負債のうち事業用のものからなり、流動資産・負債から余剰資金や有利子負債を控除したものである。

実務上は、増加運転資本計算には、運転資本の主要な項目の増減をとって算定するが、通常売上債権、棚卸資産、仕入債務の項目が用いられることがある。事業計画で間接法のキャッシュフロー計算書を作成している場合はキャッシュフロー計算書から入手可能であり、貸借対照表を作成している場合は、こちらからも算定可能であるが、実務上、対象となる資産・負債項目のみ(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の予測値を将来予測期間にわたって用意するケースが多い。なお、株式評価時において、特に貸借対照表項目の予測値も入手不能の場合、実績の回転率をもとに損益計算書のみで運転資本の額を算定することも可能である。

なお、売上債権の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の増加により運転資本が増加すると、フリーキャッシュフロー(FCF)は減少し、売上債権の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の減少により運転資本が減少すると、FCFは増加する。

固定資産である投資その他の資産等に関しても、事業用の投資その他の資産と、その他の固定負債の増減をとり、フリーキャッシュフローに加減算する場合がある。